熱射病~スポーツと熱射病~
ニュース、新聞等で報じられているスポーツによる事故死で一番多いのは何だと思いますか。実は熱射病などの暑熱障害なのです。暑熱障害が一多く発生するのは梅雨から夏、それも急激に高温・多湿の環境条件に変化する時に多く起こります。
これら熱射病などの暑熱障害はコーチ、選手の知識でほとんど防ぐことができるようです。高温・多湿の環境下での運動実施上、知っていて損はありません!知識を身につけ安全にスポーツを楽しみましょう。
※熱射病は夏季以外でも起こりますので注意してください。
天候因子
暑熱環境下の運動実施においては気温、湿度、風速、輻射熱等の天候因子に注意する必要で、特に湿度が重要です。
同じ気温でも湿度が高ければ汗の量も増加し、水分補給の必要性も増加します。湿度が90%を越える場合は要注意です。
運動強度と体温、身体条件
運動強度が強くなるほど消費する熱量も増加し、体温が上昇します。従って運動強度が増すほど休息の回数を増やして、水分補給も増やさなくてはいけません。体重の3%の脱水が起これば、運動能力が低下します。
特に、高温下の運動に慣れていない人、肥満傾向にある人、自己の記録に挑戦しやすい人、感染症、発熱、胃腸障害のある人、高温下で意識喪失の経験がある人は、十分注意が必要です。
運動と衣服
スポーツの種類によっては大量の防具を着けることがありますが、これが放熱を妨げ、うつ熱を起こすことがありますので休憩中は可能なかぎり衣服を緩め、身体から熱を逃がす工夫をしましょう。
水分・電解質の補給
汗は身体から熱を奪い、体温が上昇しすぎるのを防いでくれますが、失われた水分を補わなくては運動能力を維持できませんし、体温の調節も困難になります。30分毎に飲水休憩をとるようにし、脱水が起ることを防ぎましょう。
また、発汗で水分と同時に電解質も失われます。電解質を補うことなく水分のみを補給すると、血液の電解質濃度が低下し、筋肉の疼痛やけいれんが起りますので電解質の補給は食塩水でも可能ですが、汗の組成とほぼ等しいイオンを含んだイオン飲料がお勧めです。
日常生活における体調チェック
毎朝起床時に体重を測りましょう。体重減少が続くようでしたら、運動量が多すぎることを示唆します。また運動の前後に体重を測定すると、運動中汗として失われた水分量が求められます。
つぎ運動を始めるまでに、少なくとも脱水量の80%を補いましょう。また高温環境で運動するには、身体を高温に順化させる必要があります。夏の初めなどには、事故が起りやすいので注意しましょう。
暑熱障害(熱射病)の症状と救急処置の知識
暑熱障害の症状を軽いものから順番に並べると次のようになります。
1.熱失神、顔が急にそう白になり全身脱力感、血圧低下、意識喪失など。
2.脱水による激しい口渇、脱力、倦怠感、血液濃縮など。
3.イオンの喪失による頭痛、吐き気、嘔吐、下痢、意識障害など。
4.熱痙攣:腕、脚、腹筋などの疼痛、痙攣など。
5.熱中症:意識喪失、発汗の停止と体温の上昇など。最も重篤で危険な状態です。
※万一の救急処置
・まず、救急車を呼びます。
・同時に涼しい場所で横にし、濡れタオルと扇風機などで身体を冷やします。
・そしてその状態で病院に運びます。
・また医師に伝える情報を整理しておきましょう。